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・抜粋朗読。食事など箇条書きの部分は、「注」~「注閉じ」と朗読中に入る部分が、要約など朗読者による本文朗読外の部分。
・掲載テキストはございません。青空文庫で掲載されたらリンクを張る予定。朗読は「角川ソフィア文庫」による。
・後半に向かうほど、遣り切れなく苦しきもの伝わりて、個人の日記など朗読すべきにあらずと、後悔ほどでもなかりしが、わずかに思うところあり。(読後感想)
明治三十四年九月二日 雨 蒸暑シ
庭前ノ景ハ棚ニ取付イテブラ下リタルモノ
夕顔二、三本瓢[ふくべ]二、三本糸瓜[へちま]四、五本
夕顔トモ瓢トモツカヌ巾着型[きんちゃくがた]ノモノ四ツ五ツ
[次にその画あり]
女郎花[おみなえし]真盛鶏頭[けいとう]尺ヨリ四,五寸ノモノ二十本バカリ
[次にその画あり]
夕顔ノ実ヲフクベトハ昔カナ
夕顔モ糸瓜モ同シ棚子同士
夕顔ノ棚ニ糸瓜モ下リケリ
鄙[ひな]ノ宿夕顔汁ヲ食ハサレシ
右八月二十六日俳談会席上作
夕顔ノ太リ過ギタリ秋ノ風
棚一ツ夕顔フクベヘチマナンド
病床ノナガメ
棚ノ糸瓜思フ処ヘブラ下ル
試ミニ名ヲハ巾着フクベカナ
取付テ松ニモ一ツフクベカナ
子ヲ育ツフクベヲ育ツ如キカモ
雨ノ日ヤ皆倒レタル女郎花
雨ノ日ヲ夕顔[原文別の漢字を使用]ノ実ノナガメカナ
蝉ナクヤ五尺ニ足ラヌ庭ノ松
糸瓜ブラリ夕顔ダラリ秋ノ風
病間ニ糸瓜ノ句ナド作リケル
野分近ク夕顔ノ実ノ太リ哉
湿気多ク汗バム日ナリ秋ノ蠅
鶏頭ノマダイトケナキ[幼いの意味]野分カナ
秋モハヤ塩煎餅ニ渋茶哉
朝 粥[かゆ]四椀[わん]、ハゼノ佃煮[つくだに]、梅干(砂糖ツケ)
昼 粥四椀、鰹[かつお]ノサシミ一人前、南瓜[かぼちゃ]一皿、佃煮
夕 奈良茶飯四椀、ナマリ節(煮テ少シ生ニテモ) 茄子一皿
コノ頃食イ過ギテ食後イツモ吐キカエス
二時過牛乳一合ココア交テ
煎餅菓子パンナド十個バカリ
昼飯後梨二ツ
夕飯後梨一ツ
服薬ハクレオソート昼飯晩飯後各三粒(二号カプセル)
水薬 健胃剤[けんいざい]
今日夕方大食ノタメニヤ例ノ左下腹[したはら]痛クテタマラズ 暫[しばらく]ニシテ屁出デ筋ユルム
松山木屋町[きやちょう]法界寺ノ鰌施餓鬼[どじょうせがき]トハ路端ニ鰌汁商フ者出ルナリト 母ナドモ幼キ時祖父ドノニツレラレ弁当持テ往[い]テソノ川端ニテ食ハレタリト モツトモ旧暦二十六日頃ノ闇ノ夜ノ事ナリトイフ
餓鬼モ食ヘ闇ノ夜中ノ鰌汁
午後八時腹ノ筋痛ミテタマラズ鎮痛剤ヲ呑ム 薬イマダ利カヌウチ筋ヤヤユルム
母モ妹モ我枕元ニテ裁縫ナドス 三人ニテ松山ノ話コトニ長町ノ店家[みせや]ノ沿革話イト面白カリキ
十時半頃蚊帳[かや]ヲ釣リ寝ニツカントス 呼吸苦シク心臓鼓動強ク眠ラレズ 煩悶[はんもん]ヲ極ム 心気[しんき]ヤヤ静マル 頭脳苦シクナル 明方少シ眠ル
2011/1/29