秋が来た。
また公園の竝木路[なみきみち]は、
すつかり落葉で蔽[おお]はれて、
その上に、わびしい黄色い夕陽は落ちる。
それは泣きやめた女の顔、
ワットマンに描(か)かれた淡彩[たんさい]、
裏ッ側は湿つてゐるのに
表面はサラッと乾いて、
細かな砂粒をうつすらと附け
まるであえかな心でも持つてるもののやうに、
遥(はる)かの空に、瞳を送る。
僕はしやがんで、石ころを拾つてみたり、
遐[とお]くをみたり、その石ころをちよつと放(ほ)つたり、
思ひ出したみたいにまた口笛を吹いたりもします。
[淡彩]
・あっさりと彩ること。またそのような淡い彩色のこと。
2011/1/31