龍巻 (中原中也)

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龍巻

龍巻の頸(くび)は、殊にはその後頭(こうとう)は
老廃血(ふるち)でいつぱい

曇つた日の空に
龍巻はさも威勢よく起上るけれど

実は淋しさ極まつてのことであり
やがても倒れなければならない

浪に返つた龍巻は
たゞたゞ漾[ただよ]ふ泡となり

呼んでも呼んでも、
もはや再起の心はない

     (一九三五・九・一六)

2011/1/31

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