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高橋新吉に
形式整美のかの夢や
羅馬[ローマ]の夢はや地に落ちて、
我今日し立つ嶢角[ぎようかく]の
土硬くして風寒み
希望ははやも空遠く
のがるる姿我は見ず
脛[はぎ]は荒るるにまかせたる
我や白衣の巡礼と
身は風にひらめく幟[のぼり]とも
長き路上にをどりいで
自然を友に安心立命
血は不可思議の歌をかなづる
(一九三三・四・二四)
[嶢角(ぎょうかく)]
・険しい山、険しく高いところくらいの意味か?
[安心立命(あんしんりつめい)]
・「あんじんりゅうめい」とも読む。
・いかなる場合も天命に委ね、動じずこころが落ち着いていること。
2010/12/28