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萎[しな]びたコスモスに、鹿革の手袋をはめ、それを、霊柩車[れいきゅうしゃ]に入れて、街道を往く。
風と陽は、まざらない……
霊柩車、落とす日蔭に、落ちる涙はこごめばな。
(一九三三・九・二二)
[こごめばな(小米花)] ・「ゆきやなぎ(雪柳)」または「しじみばな(蜆花)」のことだが、よく知られた雪柳のことかと思われる。春、3月から5月頃、細く伸びた枝じゅうに小さな白い花を付けるので、白い花だか、雪化粧の枝が、無数に咲いているかと思わせる。そんな花。
2010/1/11
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