こころまこともあらざりき
不実といふにもあらざりき
ゆらりゆらりとゆらゆれる
海のふかみの海草(うみくさ)の
おぼれおぼれて、溺れたる
ことをもしらでゆらゆれて
ゆふべとなれば夕凪[ゆうなぎ]の
かすかに青き空慕[した]ひ
ゆらりゆらりとゆれてある
海の真底の小暗きに
しほざゐあはくとほにきき
おぼれおぼれてありといへ
前後(ぜんご)もあらぬたゆたひは
それや哀しいうみ草の
なさけのなきにつゆあらじ
やさしさあふれゆらゆれて
あをにみどりに変化(へんげ)すは
海の真底の人知らぬ
涙をのみてあるとしれ
冷たいコップを燃ゆる手に持ち
夏のゆふべはビールを飲まう
どうせ浮世はサイアウが馬
チヤツチヤつぎませコップにビール
明けても暮れても酒のことばかり
これぢやどうにもならねやうなもんだが
すまねとおもふ人様もあるが
チヤツチヤつぎませコップにビール
飲んだ、飲んだ飲んだ、とことんまで飲んだ
飲んで泡吹けあ夜空も白い
白い夜空とは、またなんと愉快ぢやないか
チヤツチヤつぎませコップにビール
2009/03/29