一夜 鉄扉(かねど)の 隙より 見れば、
海は轟[とどろ]き、浪は躍り、
私の 髪毛[かみげ]の なびくが まゝに、
炎は 揺れた、炎は 消えた。
私は その燭(ひ)の 消ゆるが 直前(まへ)に
黒い 浪間に 小児と 母の、
白い 腕(かひな)の もが[正しくは漢字使用]けるを 見た。
その きえぎえの 声さへ 聞いた。
一夜 鉄扉の 隙より 見れば、
海は 轟き、浪は 躍り、
私の 髪毛の なびくが まゝに、
炎は 揺れた、炎は 消えた。
2009/03/21