六月の雨 (中原中也)

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六月の雨

またひとしきり 午前の雨が
菖蒲(しやうぶ)のいろの みどりいろ
眼(まなこ)うるめる 面長き女(ひと)
たちあらはれて 消えてゆく

たちあらはれて 消えゆけば
うれひに沈み しとしとと
畠(はたけ)の上に 落ちてゐる
はてしもしれず 落ちてゐる

      お太鼓(たいこ)叩いて 笛吹いて
      あどけない子が 日曜日
      畳の上で 遊びます

      お太鼓叩いて 笛吹いて
      遊んでゐれば 雨が降る
      櫺子(れんじ)の外に 雨が降る

2009/02/15

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