天は地を蓋(おほ)ひ、
そして、地には偶々(たまたま)池がある。
その池で今夜一と夜さ蛙は鳴く……
――あれは、何を鳴いてるのであらう?
その声は、空より来り、
空へと去るのであらう?
天は地を蓋(おほ)ひ、
そして蛙声[あせい]は水面に走る。
よし此の地方(くに)が湿潤に過ぎるとしても、
疲れたる我等が心のためには、
柱は猶(なほ)、余りに乾いたものと感(おも)はれ、
頭は重く、肩は凝るのだ。
さて、それなのに夜が来れば蛙は鳴き、
その声は水面に走つて暗雲に迫る。
2009/03/20