村の時計 (中原中也)

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村の時計

村の大きな時計は、
ひねもす動いてゐた

その字板のペンキは
もう艶(つや)が消えてゐた

近寄つてみると、
小さなひびが沢山にあるのだつた

それで夕陽が当つてさへが、
おとなしい色をしてゐた

時を打つ前には、
ぜいぜいと鳴つた

字板が鳴るのか中の機械が鳴るのか
僕にも誰にも分らなかつた

2009/03/18

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