畳の上に、寝ころばう、
蝿(はへ)はブンブン 唸つてる
畳ももはや 黄色くなつたと
今朝がた 誰かが云つてゐたつけ
それやこれやと とりとめもなく
僕の頭に 記憶は浮かび
浮かぶがまゝに 浮かべてゐるうち
いつしか 僕は眠つてゐたのだ
覚めたのは 夕方ちかく
まだかなかなは 啼(な)いてたけれど
樹々の梢は 陽を受けてたけど、
僕は庭木に 打水やつた
打水が、樹々の下枝(しづえ)の葉の尖(さき)に
光つてゐるのをいつまでも、僕は見てゐた
[注意]
・「かなかな」には傍点が付く
2009/02/22