陽ざしとかれくさ (宮沢賢治)

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陽ざしとかれくさ

    どこからかチーゼルが刺し
    光(くわう)パラフヰンの 蒼いもや
    わをかく わを描く からす
    烏の軋り……からす器械……
(これはかはりますか)
(かはります)
(これはかはりますか)
(かはります)
(これはどうですか)
(かはりません)
(そんなら おい ここに
 雲の棘をもつて来い はやく)
(いゝえ かはります かはります)
    ………………………刺し
    光パラフヰンの蒼いもや
    わをかく わを描く からす
    からすの軋り……からす機関

     (一九二二、四、二三)

言葉の意味

[チーゼル]
・二年草で1メートル以上になる、マツムシソウ科の植物。ドライフラワー、ハーブなどに使用。開花は夏。

[パラフィン]
・御免なさいの、ウィキペディア部分引用
「常温において半透明ないし白色の軟らかい固体(蝋状)で水に溶けず、化学的に安定な物質である、成分は主にノルマルパラフィンの炭素数20以上の混合物であり、融点については用途により異なる。日本に於いては単にパラフィンと呼ぶ場合が多いが、ケロシンとの混同を避ける為、特にパラフィンワックスとも呼ぶ。
・ロウソク、クレヨン等で身近に使用され、生活場面ではしばしばロウとして扱われるが、化学的には日本のロウと西洋のワックスは全く異なるので留意する必要がある」

2010/5/7

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