悲しき朝 (中原中也)

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悲しき朝

河瀬の音が山に来る、
春の光は、石のやうだ。
筧(かけひ)の水は、物語る
白髪(しらが)の嫗(をうな)にさも肖(に)てる。

雲母の口して歌つたよ、
背(うし)ろに倒れ、歌つたよ、
心は涸(か)れて皺枯(しわが)れて、
巌(いはほ)の上の、綱渡り。

知れざる炎、空にゆき!

響の雨は、濡れ冠る!

……………………………

われかにかくに手を拍く……

2009/3/16

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