閑寂 (中原中也)

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閑寂

なんにも訪(おとな)ふことのない、
私の心は閑寂だ。
    それは日曜日の渡り廊下、
    ――みんなは野原へ行つちやつた。

板は冷たい光沢(つや)をもち、
小鳥は庭に啼(な)いてゐる。
    締めの足りない水道の、
    蛇口の滴(しづく)は、つと光り!

土は薔薇色(ばらいろ)、空には雲雀(ひばり)
空はきれいな四月です。
    なんにも訪(おとな)ふことのない、
    私の心は閑寂だ。

2009/03/04

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